されど牡蠣

  • 2021.12.23
  • コラム

牡蠣の季節到来となり、すでに多くの方が食しているのではと思います。

特に松島湾の牡蠣は小ぶりで味も締まっているために、生食にはうってつけのような気が致します。

既に日本では縄文時代、欧州ではローマ時代には牡蠣が食されており、海のミルクと云われる通り、栄養補給の重要な食物だったかもしれません。

日本では牡蠣フライ、生牡蠣、酢牡蠣、牡蠣鍋、バター炒め等何でもありのスタイルで、おそらく世界広しといえど日本人ほど牡蠣の食べ方を楽しんでいる国は無いような気がします。

牡蠣にまつわる話で以外に知られていない事実があります。

その一つが日本での牡蠣の養殖の始まりは松島湾に浮かぶ塩竈市の浦戸諸島から始まったことです。1600年代に浦戸諸島の野々島で内海庄左衛門なる者が島周辺に大量の牡蠣があることを見つけ、採取ばかりでなく繁殖を考えて稚貝を適当な海面に散布して育成したのが始まりとされています。

一方、ブルボン朝の太陽王ことルイ14世を始めてとして、フランス人の牡蠣好きはおそらく世界一。そんなフランスの牡蠣養殖の産地はブルターニュの海岸地域(英国の対岸)でしたが1960年台に牡蠣の病気の蔓延により絶滅の危機となり、世界各地から種貝を運び定着させようとしましたがまくいかず、唯一1966年に松島湾から送られた種貝がみごとに定着し今日に至ります。したがって、フランス産と松島湾の牡蠣は共通のDNAを持つことになります。

2011年の東日本大震災では松島湾の牡蠣養殖も大きな痛手を被りましたが、フランスから義援金や養殖再開の資材なども送られたと聞きます。

まさに牡蠣が取り持つ縁と云えます。

フランス人をはじめ諸外国では殆どが生牡蠣(ハーフシェル)ですが、牡蠣フライはおそらく日本以外では食べれない日本人の作った最高のレシピではないでしょうか!?

フランス人は生牡蠣にはフランス産シャブリの白ワインが一番と云いそうですが、口の中の生臭い匂いをリフレッシュするのは日本酒以外ありません。これは古来刺身を食べてきた日本人の知恵ではないかと思います。

地元松島湾の牡蠣に塩竃の地酒である浦霞、阿部勘を熱燗できゅ―っと一杯やりながらが食するのが最高・最強の取り合わせと思います。

フランスの素敵なパリジェンヌにも是非、お勧めしたい気がしますね。

(UMO)

ページトップへ